黒い玉手箱(愛知県在住時代の思い出話)
愛知県に住んでいた5年と3カ月
故郷の最北の村は遠くて簡単に帰省は出来ませんでしたが
初めての帰省は飛行機で、2度目の帰省はクルマの長旅でした。
今回は愛知県に行った年の暮、飛行機で帰省したときの思い出話です。
飛行機と言っても国鉄の列車で帰省しても
たいした変わらないくらい時間がかかりました。
岡崎市まで行きます。
岡崎市は国鉄東海道本線が
通っているので国鉄に乗り換え
そして蒲郡市など通って
夜11時頃豊橋市に着きました。
豊橋市からは東京行きの急行や特急が走っています。
豊橋駅の思い出
やれやれ豊橋駅に着いたのですが、夜中の11時も過ぎる頃なのに
駅の中はたくさんの人で込み合っていました。
東京行きの電車が名古屋の方から来るまで1時間以上あります。
どこか座る所がないかと捜したら、座るところがありました。
隣に座っていたおじさんの顔を見てびっくり#59140;
そしてベンチの横や背後には
恐い顔をしたお兄さんたちが立っていました。
座るのを止めて逃げ出すわけにもいかないので
小さくなってジーッと座っていると
その恐いおじさんが私に話しかけてきたんです。
恐い顔に似合わず話題が豊富で
私の知らない世界の話を面白可笑しく聞かせてくれて
すっかり私はおじさんの話に楽しくなってしまいました。
そして日付も変わる12時頃
そろそろ東京行きの電車の到着時間が近づいてきたので
私は、ところでこんな夜中におじさんはどこまで行くんですか~と聞いたら
恐い顔をしたおじさんは、名古屋から友達が来るので迎えにきたんだ
と言いました。
こんな恐そうなおじさんの友達も
やっぱり恐い顔をしてるんだろうなと思って
友達という人の顔を見てみたかったのですが
その電車に私が乗るので顔を見ることは出来ませんでした。
こうして楽しい1時間ほどを過ごさせてもらって
おじさんにお礼を言って東京行きの電車に乗ったのです。
初めての飛行機
朝、東京に着いて羽田空港に向かいます。
そして生まれて初めて飛行機に乗るのですが、私の隣の席に
座った同年代の男性も、この日が初めて飛行機に乗ると緊張していました。
飛行機が走りだして急加速、私も恐かったのですが隣の男性を見たら
下を向いて目をつぶって、歯をしっかりと食いしばっていました。
こうして飛行機の旅とは言っても
列車の中で2泊もして帰った遠い故郷でした。