富山からやってきた後輩

昔話（愛知県在住時代の40年ほど前）

私が２１～２２歳のころ
私よりも４歳年下で、中卒で働いていた後輩がいました。

無口な少年で、人とはあまり会話もしない彼でしたが
私にはなつくので、コージ（幸司）と呼んで可愛がっていました。

そのコージから
年末も近くなった或る日「俺ん家一緒に行こうよ」と誘われます。

せっかくの正月に、他人の私がお邪魔するのは気がひけるので
断りましたが、何度か誘われてついに行ってみることにしました。

その街は富山県城端町

ネットで調べてみると越中の小京都と呼ばれているらしく
合併により、現在は南砺市になっていました。

彼の実家は農家だったので、冬の農村の風景を
楽しませてもらいましたが、柿の木の高いところに取り残しの柿が
何個かぶら下がっていたのが珍しくて記憶に残っています。

やがて私も北海道に帰りたくなってしまい、23歳のときに
5年と3カ月暮らした愛知県を離れ、北海道に帰ることになります。

そして3年後、私が北見に住みついて結婚したころでした。

ジリリーン

後輩
「もしもしプー太の父さんしばらくでした、そっちに遊びに行っていい？」

電話は年賀状の返事もロクにもらったこともないコージからでした。

私
「おお元気だったか、いつでも来いよ
　夏休みでも冬休みでも好きな時に来てくれ。」

後輩
「それじぁ明日行くから」

私
「なにぃ明日って・・・お前
　いまどこにいるんだ？愛知県かそれとも城端か」

後輩
「愛知県の会社は辞めて城端に帰ったんだけど
　北海道が見たくなってブラリと旅に出て今サッポロに着いたところ。
　サッポロに着いたら北見まで行ってみたくなって・・・」

私
「そうかわかったすぐに来いよ
　明日の朝札幌を出ると夕方前には北見に着くから」

次の日の夕方に無事にコージと北見駅で再会

37年前、再会と別れの場所になったＪＲ北見駅

ちょうど仕事も連休になったところなので、摩周湖や阿寒湖など
あちこちドライブに連れて行って3泊ほどして
コージは国鉄の北見駅から、列車に乗って富山に帰って行きました。

無口で人との会話も苦手なコージが
国鉄の列車を乗り継いでよく北見まで来たものです。

そんなコージからはその後も何も連絡もなく
音信不通の状態ですが、それが彼らしいところ。

いつかまた突然電話をくれて

「プー太の父さんしばらくでした
　ブラリと旅に出ていま北見に着いたんだけどぉ～」

なんて、白髪がいっぱい生えたコージが現れそうな気もするのです。

 

 

コメント 16

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ほんわかする、よいお話ですね。

寅さんみたい・・・
今、その方は何を考えているのでしょう。
元気でいるかな？
プー太の父さんの胸の内は、どこまでも広がりますね。
by 和 (2013-01-25 06:12) 

ふふふ～素敵なお話！
by 月夜 (2013-01-25 06:54) 

なるほど、良いお話ですね。
僕の中学の友人にも似たような奴がいます。
十年も会ってなかったのに、突然秩父のアパートを訪ねてきました。
その後音信不通、又突然やってきそうな気がします。
by johncomeback (2013-01-25 10:51) 

短編小説やエッセイを読んでるような、素敵なお話ですね（*^_^*）
by マチャ (2013-01-25 12:09) 

こういう人って何か憎めないですね＾＾
自分にも　いつも急に手ぶらで転がり込んでくる後輩が居ました
お土産は思い出話が一杯です。
by ダミアン88 (2013-01-25 18:26) 

ボクにもそんな友人が居ましたが、今はどうしているのか分かりません、何時も心の中にぶら下がっています。
by amaguri (2013-01-25 23:04) 

和さん　こんにちは～

たぶん何も考えてないでしょう。
そんな彼も今年は還暦になるのですからね
もう一度会いたいものだと思います。

いつか信州旅行したときに城端に行ってみたい
とも思ったり、いろいろ考えが広がりますね。
by プー太の父 (2013-01-27 09:41) 

月夜さん　こんにちは～

ありがとうございます。
そのときは深く考えてもいなかったのですけど
いま思うと遠い富山の山奥から、この北海道の東の
端の北見までよく来てくれたものだと思います。
by プー太の父 (2013-01-27 09:44) 

johncomebackさん　こんにちは～

こういうことって若いときの特権ですね。
自由気ままに思いつきで行動出来る人って
気楽に見えるかもしれませんが
行動的で勇気もある人なのかとも思います。

by プー太の父 (2013-01-27 09:52) 

マチャさん　こんにちは～

37～38年前なので、けっこう古い話しなのですけど
北見でのことなので、つい最近あったようなことに思えます。

記事に書かなかったのですが、夏タイヤで富山に行って
帰りに金沢で吹雪状態になり、大変苦労して
愛知県に帰りました。若気のいたりですね。
by プー太の父 (2013-01-27 09:58) 

ダミアンさん　こんにちは～

おとといからの大雪で、せっかくの日曜日も家の前の
除雪で大忙しですが日曜日で良かったです。

思い出話が一番のお土産ですよね
本当に憎めなくて、またいつか来てくれればいいと思いますが
後輩はもう、私のことなど忘れているかもしれませんね。


by プー太の父 (2013-01-27 14:26) 

jyoji-sanさん　こんにちは～

みなさん似たようなことがあるんですね。
若いときに仲良くしていた友人のことは、いつまでも
忘れられない思い出として心に残っていますね。

私は黒い玉手箱に書いてる、愛知県時代の先輩や後輩が
九州に2人愛知県に1人、40年間年賀状を出し合っているので
いつか会いたいものだと思っています。
by プー太の父 (2013-01-27 14:38) 

心があたたまるようなやりとりですね～。(´∀｀)
でも女同士じゃこうはいかなそうです。
「明日来る？ダメダメ、部屋を片付けなきゃいけないし、お料理も用意して
ないし、最近美容院も行ってないし・・・」
とまあ、何かと面倒なことになりそうですが、(^_^;)　こういう気持ちの
いいやりとりが成り立つのは男同士ならではという感じですね。
またいつか白髪頭のコージさんに会えるといいですね。(^。^)
by たぬぽ (2013-01-27 17:00) 

たぬぽさん　こんばんは～

たしかに女の人はいろいろ気を使って大変だと思います。
男は何も気にしないし、接待のことも考えなくてもいいので
まったく気軽に行き来が出来ますからね。

あのとき後輩は、札幌に着いてから北見に行きたくなったと
行って電話をくれたのですけど、もしかして最初から北見に
来るのが目的だったんでないかと思ったりもしました。
どちらにしても、高い交通費をかけて遠くから来てくれたので
嬉しい出来ごとでしたけど　ﾆｺ(*^_^*)ﾆｺ
by プー太の父 (2013-01-27 21:15) 

決まった約束や、準備など無くても。。。
突然訪れた『再会』を心から、自然に喜べる関係。。。
『真の友人』とは。。。その様なモノですね♪('-'*)
どんなに時間が経過し、その間、音沙汰が無くとも…
再会時には、自然と あふれ出す会話。。。
そんな友人と、次に会える日が楽しみですね！o(^-^)o
by マザーグース (2013-01-31 07:28) 

マザーグースさん　こんにちは～

「朋あり遠方より来たるまた楽しからずや」
私の場合は朋が友という字になりますが・・・

この論語のような心境というと、大げさかもしれないですけど
遠くからわざわざ訪ねて来てくれるという、後輩の思いもかけない
電話が嬉しくて、すぐにでも会いたくなりました。

その時は北見で3年ぶりの再会出来ましたが、また会いたいものです。
信州旅行に行ったときにでも、富山の城端まで足を延ばして
後輩をビックリさせてお返しをしたいともユメみています（*＾-＾*）
by プー太の父 (2013-02-01 12:06)